
アメリカで進む「懐石」のいま ~有名店の動きから見える、2026年の潮流~
ここ数年、アメリカにおける日本料理への関心は、寿司やおまかせ一辺倒から、より多層的な体験へと静かに移り始めています。
その象徴ともいえるのが、昨今のミシュランガイドによる地方都市への拡張と、そこで評価される多様な和食のあり方です(参考:ミシュランガイド、アメリカ南西部&東北都市圏へ)。
こうした和食の多極化が進む中で、いま改めて注目されているのが「懐石(Kaiseki)」という形式です。
派手なブームというよりも、料理人の選択とゲスト側の理解が少しずつ噛み合ってきた結果として、2026年の「いま」がある。そんな確かな手応えを感じる、全米の主要な動きを追っていきます。
ニューヨークで語られる懐石の現在地:Odo
ニューヨークの懐石シーンを牽引するのが、フラットアイアン地区に構える Odo です。
店主の大戸氏は、会席の伝統的な構成を守りつつも、アメリカのダイニングシーンに最適化した「テンポ」と「ボリューム」を追求してきました。
2026年現在のOdoが評価されているのは、格式を押し付けるのではなく、「懐石の哲学をいかに現代の日常に馴染ませるか」という柔軟な姿勢です。
煮物や蒸し物といった基本の技法を忠実に守りながらも、全体を軽やかにまとめるバランス感覚。
これが「重すぎない食体験」を求めるニューヨーカーのニーズと合致しています。
「変えない」ことの価値を問い直す:Kappo Sono
一方で、現代的なアレンジを加えず、伝統的な割烹・懐石の文脈を愚直に守り続ける店も再評価されています。ミッドタウンの名店 Kappo Sono(割烹 園) です。
派手な演出を削ぎ落とし、季節の移ろいをお椀や焼き物に込めるその姿勢は、2026年の視点では「最も贅沢なスタンダード」として映ります。
おまかせ寿司をひと通り経験し、魚以外の調理法や、コースとしての「流れ」を知りたくなったゲストにとって、Kappo Sonoは「懐石の教科書」としての重要な役割を担っています。
西海岸で進む、懐石の別解釈:Uka
ロサンゼルスの Uka は、懐石という形式をさらに進化させ、場所性に根ざしたアプローチで注目を集めています。
Ukaが重視するのは、形式の厳密な再現よりも、カリフォルニアという土地の食材を使って「季節をどう語るか」という点です。
懐石の構造を維持しながらも、地元の素材を日本の技法で昇華させる手法は、懐石を「輸入文化」から「その土地で育まれる料理」へと変換させています。
地域性と思想の融合:Nodoguro
オレゴン州ポートランドの Nodoguro も、懐石の考え方がアメリカ流にローカライズされた好例です。
この店は、厳密な「懐石」を看板に掲げているわけではありません。しかし、その多皿構成や徹底した季節へのこだわりには、明らかに懐石の思想が流れています。
日本の形式をなぞるのではなく、思想としての懐石を地域の食文化と融合させるこの柔軟さこそが、今、アメリカ各地で受け入れられている現実的な形と言えるでしょう。
なぜ今、アメリカで「懐石」なのか
2026年時点で懐石が注目される背景には、主に二つの構造変化があります。
- ゲストの成熟: おまかせ寿司の普及により、魚中心の体験から一歩進み、より多様な調理法(焼く、煮る、蒸す)を組み合わせた総合的なコースを求める層が増加。
- 料理人の自己表現: 寿司という単一のジャンルを超え、和食の総合力を発揮できる場として、料理人たちが改めて懐石・割烹という形式を選び始めている。
まとめ:2026年の潮流
今、アメリカで起きているのは一時的なブームではありません。それは、懐石という文化がアメリカの食の土壌に深く根を張るための、「翻訳と定着」のプロセスです。
2026年は、懐石が単なる「高価な日本料理」から、「技法と季節を重んじる、洗練されたダイニング体験」へと、ゲストの理解が一段深く移行した年として記憶されるでしょう。
変化は静かですが、日本の食文化の真の価値が、今まさにアメリカで浸透しつつあります。
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