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日本からアメリカに寿司職人として就職するための7つのハードル

日本からアメリカに寿司職人として就職するための7つのハードル

November 12, 2025
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〜アメリカで寿司職人として働くために知っておくべき現実と準備〜

アメリカではここ10年で寿司や和食の需要が急増しています。ニューヨーク、ロサンゼルス、マイアミといった大都市だけでなく、ダラス、ヒューストン、シカゴ、デンバーなど、全米で日本食レストランの出店が相次いでいます。

特に「本格的な寿司職人」の需要は高く、経験豊富な日本人シェフの採用を希望する企業も多く存在します。

一方で、日本からアメリカに「寿司職人として就職・移住」するには、いくつかのハードルを乗り越える必要があります。

アメリカでの仕事探しの方法については、こちらの記事で詳しく解説しています:
アメリカでのシェフの仕事の探し方7つの方法

ここでは、現地採用や海外転職を目指す人が知っておくべき7つの現実的な壁を詳しく紹介します。

1. 就労ビザの取得:最大の関門

アメリカで働くには、まず合法的な就労資格が不可欠です。寿司職人の場合、主に以下の3種類のビザが使われます。

① E-2ビザ(投資家ビザ)

日本とアメリカの間の投資条約に基づくもので、日本企業がアメリカでレストランを経営している場合に発行されます。

このビザでは「投資企業のマネージャー」や「専門的スキルを持つ社員」として働くことが可能です。

多くの寿司職人が、この E-2ビザ により雇用されています。

ただし、投資企業(=雇用主)がE-2登録されている必要があるため、個人で取得することはできません

② H-1Bビザ(専門職)

寿司職人単体では認可されにくいですが、「Executive Chef」や「Head Sushi Chef」など管理職ポジションとして申請すれば可能性があります。

ただし、発行枠に上限(抽選制)があり、毎年申請競争が激しいのが現実です。

③ O-1ビザ(卓越した能力)

「ミシュラン掲載店での勤務歴」「メディア掲載実績」「国際的な受賞歴」などがあるシェフに発行されます。

このビザを取得できれば、比較的自由度が高く、他店舗での活動も可能です。

注意点

  • ビザ申請には「雇用契約書」「英語履歴書」「職歴証明書(日本語+英訳)」などが必要です。
  • ビザの取得には 通常3〜6ヶ月、更新も2〜5年ごとに必要。
  • 配偶者の就労可否や子どもの滞在資格も、ビザ種別によって異なります。

2. 英語力:厨房を超えて、顧客との対話が求められる時代

アメリカでは、寿司職人が単に“握るだけ”ではなく、

お客様と直接会話しながらコースを進行する Omakase(おまかせ)スタイル が主流になりつつあります。

「どんな魚か」「どこの産地か」「なぜこの温度で出すのか」などを英語で説明できることが、一流の寿司職人としての信頼 に直結します。

また、キッチンやホールスタッフの多くは非日本人であり、スタッフ間コミュニケーションも英語 で行われます。

最低限の英語表現を準備しておくことで、チームワークが格段にスムーズになります。

3. アメリカ式の衛生・安全基準:ServSafeは“必須資格”

アメリカでは、飲食店の衛生基準は日本より厳格で、州や郡ごとに規定が異なります。

特に寿司レストランでは、生魚の扱いに関して次のようなルールがあります。

  • 魚はFDA認可のルートで仕入れる必要がある
  • 冷凍(-20°C以下で7日間)処理されたものでないと提供不可の州もある
  • 魚の温度・保存時間を記録する“temperature log”の提出が義務化されている地域もある

また、シェフやマネージャーは ServSafe Manager Certificate(食品衛生管理資格)を取得していることが多く、この資格があれば採用時に大きな評価を受けます。

4. 給与・待遇のリアル:地域格差と生活費の壁

寿司職人の給与は都市や経験によって大きく異なります。

以下は目安の年収レンジです。

ニューヨークでは年収85,000〜120,000ドル前後が一般的で、生活コストも高い水準です。

ロサンゼルスでは75,000〜100,000ドル、ダラスやヒューストンでは65,000〜90,000ドル程度とやや低めですが、家賃や物価も抑えられています。

マイアミやデンバー、シアトルなど新興市場でも70,000〜95,000ドル前後の給与水準です。

チップ制の導入や、夜営業中心のシフトなどにより、月収の変動が激しい のも特徴です。

また、健康保険・有給・ビザ更新費用の負担などは会社によって異なります。

求人を見る際は「総支給額」だけでなく、福利厚生・保険・勤務時間のバランス を確認しましょう。

5. 職場文化とチームマネジメントの違い

アメリカでは、上下関係よりも「パフォーマンス」と「チームワーク」が重視されます。

日本の厨房で見られるような“無言の空気感”よりも、

積極的に意見を出し合う オープンな職場文化 が一般的です。

また、キッチンのメンバーは日本人だけでなく、韓国・メキシコ・アメリカ出身のシェフも多く、

文化的な違いを尊重したコミュニケーションが求められます。

6. 生活基盤の確立:住居・銀行口座・信用履歴

アメリカでは、日本のように「保証人制度」や「住民票」がないため、

移住直後は生活基盤の構築に苦労する人が多いです。

  • クレジットヒストリーがないと、賃貸契約が難しい
  • 社会保障番号(SSN)がないと、携帯契約や保険加入ができない
  • 銀行口座の開設にも身元証明書・住所証明が必要

多くの職人は、最初の数ヶ月は レストランが用意する宿舎やシェアハウス に滞在しています。

その間に現地で生活基盤を整えるのが一般的です。

7. 長期的なキャリア設計:3年後を見据える

アメリカで寿司職人として成功するためには、単に「寿司を握る技術」だけでは不十分です。

求められるのは、経営・教育・創造性 を兼ね備えた“リーダーシップ型職人”です。

  • 3年目以降:Sous Chef(副料理長)やHead Sushi Chefへの昇格を目指す
  • 5年目以降:店舗マネージャーやオーナーシェフとして独立を検討
  • 永住希望者は、雇用主を通じた グリーンカード(永住権)申請 を視野に入れる

一流店での勤務経験、メディア露出、業界での信頼構築が、将来的なキャリアを大きく左右します。

まとめ:挑戦する価値のある「現実的な夢」

アメリカで寿司職人として働くことは、簡単ではありません。

しかし、正しい準備と覚悟を持てば、世界で通用するキャリアを築くことができます。

求められているのは「技術」ではなく、

技術+理解+適応力+継続力 です。

日本の誠実な職人文化と、アメリカの自由な発想を融合させられる人こそ、

この国で真の成功をつかむことができるでしょう。

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